インタラクションデザイン集団GADARA(柳原一也、清水惇一、竹腰美夏、油木田大祐)によるプロジェクト「Hack the Natural Objects.」は、石や枝などの”自然物”にセンサーなどの機能を組み込み、傾きによって音量や明量などのアウトプットをコントロールするデバイス。自然物がテクノロジーとともに日常に溶け込む風景を模索する。



「偶発的な形態は、機能にどう作用するか?」
19世紀、生物学から生まれたセオリー「形態は機能に従う」は、その後、建築における機能主義やプロダクトデザインの人間中心設計などの思想としても主張され、今日のデザインの基盤となっている。
家電量販店や雑貨屋に足を運べば、機能的かつスタイリッシュな形態、シンプルで使いやすい、いわゆるミニマルデザインの製品が豊富に販売され、消費者から人気を集めている。
情報技術は発展していく一方、「もの」のデザインにはもう発展の余地は無いのだろうか。
我々は、あえて自然物の形態に着眼した。
石、貝殻、流木、果実 ー これらは、人間のために機能が設計されていない。
すなわち、個体の生命活動あるいは自然現象によって形成された、唯一無二の偶発的形態である。
このような人間界にとって「非合理的な形態」に「人工的な機能」を付け加えたとしたら、日常生活で使用したら、何か認知的な矛盾や振る舞いの変化が生じ、新しい視座が得られるはずである。
設計に従うのは、テクノロジーか、自然形態か、それとも人間か・・・
次世代のプロダクトデザインの可能性を問うプロジェクトである。